「60歳で定年退職したけどまだまだ働きたい」「年金を受給できるまで安定した収入が必要」といった需要から、定年後にタクシードライバーとして働く方は多いです。そこで気になるのはやはり「何歳まで働けるのか」という点です。本記事では、定年後のタクシードライバーに関して深掘りして解説します。
定年後のタクシードライバーにまつわる現状
タクシー業界では、ドライバーの高齢化と深刻な人手不足を背景に、定年後のシニア層が重要な担い手となっています。実際、タクシードライバーの平均年齢は約60.2歳と他業種と比べて非常に高く、65歳以上のドライバーが全体の約46.2%を占めています。
このことから、タクシー業界はすでにシニア世代が中心となって支えられている職場であり、定年後の仕事として現実的かつ一般的な選択肢になっていることが分かります。同年代のドライバーが多く活躍している環境は、新たに業界に入るシニアにとっても安心材料と言えるでしょう。
タクシー業界は慢性的な人手不足
一方で、タクシー業界は乗務員数の減少や若年層の新規参入不足により、慢性的な人手不足に直面しています。厚生労働省の統計によると、タクシー運転者の有効求人倍率は9.11倍と非常に高く、必要とされる人材に対して応募者が圧倒的に不足している状況です。このような背景から、多くのタクシー会社では定年退職者やシニア層の採用を積極的に進めています。
シニア世代はタクシー業界から一定の評価を得ている
シニア世代は長年の社会経験による接客力や責任感、社会人マナーを備えている点が評価され、即戦力として期待されています。そのため、年齢を理由に採用を断られるケースは少なく、比較的働き口を見つけやすいのも特徴です。
さらに、国としても人生100年時代を見据え、高年齢者の就業促進や70歳までの就業機会確保を推進しています。こうした政策の流れもあり、タクシー業界はシニア雇用の受け皿として、今後も重要な役割を果たしていくと考えられます。
実際のところ何歳まで働けるのか
タクシードライバーは、他の職種と比べても年齢制限が緩やかで、健康状態や運転適性に問題がなければ高齢になっても働き続けやすい仕事です。法律上は、改正高年齢者雇用安定法により、企業は希望者全員を原則65歳まで雇用する措置を講じる義務があります。
そのため、多くの企業では60歳定年後も再雇用制度を活用し、65歳まで継続して働ける仕組みが整えられているのです。さらに、国は70歳までの就業機会確保を推進しており、今後はより長く働ける環境が広がると考えられます。
タクシー業界の定年に関する実態
タクシー業界の実態を見ると、定年を65歳以上に設定している会社が全体の約3分の2を占めています。内訳としては、65歳定年がもっとも多く、60歳定年の会社も一定数ありますが、その多くで再雇用により65歳や70歳まで勤務可能です。
また、定年制度自体を設けていない会社も約2割存在し、年齢を問わず働ける職場も少なくありません。さらに、雇用延長の上限を75歳以上としている企業も2割を超えており、70歳を超えても現役で活躍できる業界であることがわかります。実際に70代後半や80代で乗務を続けるドライバーも存在し、個人タクシーでは75歳以上でも営業を続ける例があります。
シニア層が長く続けられる働き方
タクシー業界では、高齢ドライバーが無理なく働き続けられるよう、シニアに配慮した多様な働き方が整えられています。
日中の勤務を中心としたシフト
体力や視力への負担を考慮し、日中の勤務を中心としたシフトに切り替える取り組みはその代表例です。夜間運転は負担が大きくなりやすいため、シニアドライバーの多くが日勤を希望しており、実際に約3割以上のタクシー会社が高齢ドライバーを昼間中心の勤務に限定する運用を行っています。そのため、夜勤を避けたい場合でも、受け入れ先に困る可能性は低いと言えるでしょう。
安定した休日・休暇の確保
また、長く働いてもらうためには休日や休暇の確保も重要視されています。週休二日以上を基本としたり、希望休を取りやすくするなど、勤務日数を調整する会社も増えており、約4分の1の事業者がこうした配慮を行っています。これにより、仕事と私生活のバランスを保ちながら、趣味や家族との時間を大切にすることが可能です。
短時間勤務制度の利用
さらに、体力に不安がある場合には短時間勤務制度を利用することも可能です。所定労働時間を短縮する措置を導入している会社は約25%にのぼり、無理のないペースでの就労が実現しやすくなっています。加えて、営業エリアを慣れ親しんだ地域に限定したり、長距離輸送ではなく地域内の短距離移動を中心に担当するといった柔軟な働き方を認めるケースも少なくありません。
まとめ
定年後も安定した収入を得ながら、無理なく長く働きたい方にとって、タクシードライバーは非常に現実的で魅力的な選択肢です。タクシー業界はドライバーの高齢化と人手不足を背景に、シニア層が中心となって支えられており、実際に65歳以上が約半数を占めています。年齢制限は比較的緩やかで、再雇用制度や定年の引き上げ、定年なしの会社も多く、健康と意欲があれば70代、さらには80代まで働くことも可能です。加えて、日中勤務への切り替え、休日の確保、短時間勤務など、シニアに配慮した柔軟な働き方が整っている点も大きな魅力です。人生100年時代を見据え、経験や人柄を活かしながら社会とつながり続けられる仕事として、定年後のタクシードライバーは今後ますます注目される働き方と言えるでしょう。