タクシーの防犯対策について解説!ドライバー自身ができる対策も紹介

公開日:2023/11/02  
タクシーの防犯対策について解説!ドライバー自身ができる対策も紹介

近年タクシー運転手を狙った犯罪が増えており、無賃乗車や乗り逃げ、売上金を狙った強盗事件などがニュースで報道されています。なかには人命が失われた最悪のケースもあり、ドライバー及びタクシー会社は十分な防犯対策が欠かせない状況です。今回はドライバーの安全を確保し、犯罪やトラブルから身を守るための防犯対策について紹介します。

タクシー防犯対策の重要性

タクシーはいつでもどこでも呼べる手軽さが魅力です。ドアツードアのサービスなので、出発地から目的地まで快適に移動でき、通院やビジネスに多く利用されるほか、公共交通機関が不足したエリアでも重宝されています。深夜や早朝といった、他の交通機関が停止している時間帯でも利用でき、ほかの乗客との共有がないため移動中のプライバシーが守れる点が最大のメリットですが、これらのメリットは強盗をもくろむ犯罪者にとっても都合の良いものとなっています。

タクシーを狙う犯罪は増加傾向にあり、平成16年に警視庁から各タクシー会社へ発表された「タクシーの防犯基準」では、防犯責任者・乗務員・防犯設備・その他の4つの項目から成る防犯基準が示されました。内容は、営業所・無線基地局ごとに防犯責任者を指定すること、防犯マニュアルの作成と乗務員への周知、防犯指導・防犯訓練を実施すること、乗務員の平素の心構えの規定、身の危険を感じた時や事件発生時の対応要領、社外防犯灯や防犯仕切り板の設置の推奨などです。

各タクシー会社はドライバーの命を守るために、防犯基準に従って防犯対策をとることが義務付けられたものの、これによってタクシーを狙った犯罪がなくなったわけではありません。景気の悪さという背景もあり、2023年現在でも日本各地でタクシー強盗が発生しています。

全国のタクシーで働くドライバーの数は新型コロナの影響や高齢化による離職などにより減少傾向にあります。全国ハイヤー・タクシー連合会の調査によるとコロナ前の2019年と比べて、2023年3月の時点でタクシー運転手の数は20%(6万人相当)減少しています。

このような状況下で、タクシーを狙う犯罪が後を絶たないままだと、ドライバー不足の解消はますます困難になるでしょう。安心してドライバーが働ける環境を整備するためにも、防犯対策は重要です。

タクシードライバーができる防犯対策

タクシードライバーが犯罪被害にあわないためには、危険人物を乗車させないことが確実ですが、乗客がどのような人物であるか外見だけで判断することは困難です。また、タクシーは原則として客の乗車を拒否できないことが「道路運送法」のなかで定められています。

この制約のなかで、ドライバーがとれる防犯対策が2つあります。1つめは乗客に対して、しっかり顔を見て挨拶することです。乗客が強盗を考えている場合、顔を覚えられたという印象を与えられるため、犯罪の抑止効果があります。

2つ目はタクシー会社が規定する防犯マニュアルに目を通し、防犯の心構えやいざという時の対応について防犯責任者に確認しておくことです。何の備えもなく強盗に遭遇すると、パニック状態に陥りかねません。危険を察知したらスマートフォンのメッセージ機能などで会社に緊急事態を通知したり、業務中にあまり現金を持たなかったりすることも被害を小さくする効果があります。

タクシー会社による防犯対策

タクシーが強盗に狙われるのは隙が大きく、犯罪を実行するハードルが低いからです。具体的な原因は大きく分けて3つあります。

1つ目は、後ろから無抵抗なドライバーに向けて犯行できることです。ドライバーは運転に集中しているので、後ろから凶器を突き付けられたら、ひとたまりもありません。

2つ目は、タクシー内が密室であることです。強盗の立場からすると、周囲の目がないため、第三者に通報されるリスクがなく犯行に及べます。

3つ目は、犯行場所・時間を犯人が自由に選べることです。これは二つ目の原因と近いものがあり、早朝や深夜など人目の少ない時間帯に、郊外や山奥などの場所を選べば、第三者に犯行を目撃されるリスクを下げることが可能です。

これらの3点が犯罪者にとって「タクシー強盗は容易だ」と思わせる要因ですが、逆に言えば、これらの原因を解消することで犯罪を抑止・防止する可能性を高められます。

タクシー会社にできる防犯対策として防犯仕切板の設置があげられます。強化プラスチック製パネルで運転席あるいは運転席と助手席を仕切ることで、乗客が乗務員の背後から手をまわし刃物を突き付ける行為が困難となります。防犯仕切り板の導入は容易かつ効果が高いため、日本でも多くのタクシーで導入しています。タクシー内の密室性を犯罪に利用されないためには、外部に情報発信することが有効です。

防犯カメラを車内に設置し、車内の様子が録画・外部共有されていることを知らせるだけでも一定の犯罪抑止効果が得られます。犯罪発生時には警備会社に繋がれるようにするとさらに安心です。

ほかにも有事の際に押すブザーを運転手にもたせたり、車内で犯罪が発生している際に車体ランプを点滅させたり表示板にSOS表示するなど、タクシーの外の通行人に非常事態にあることを知らせる設備の搭載も大きな効果が得られます。

タクシーの外に通行人がいない時間帯や場所での防犯対策は、GPSデータの送信がおすすめです。GPS機能があればタクシードライバーの位置を常に把握できますし、乗客の体調が急変した際など、犯罪以外の場面にも役立ちます。

まとめ

タクシーの防犯対策について紹介しました。タクシー会社がとれる対策として、防犯仕切板や防犯カメラの設置が挙げられます。有事の際に外部に異変を知らせる防犯ブザーの携行、車体ランプや表示板への異常発生通知機能も効果があります。さらにGPSデータを取得して常にドライバーの正しい位置を取得することも有効です。個々のドライバーも警戒心を持ち、防犯対策を実施することが重要です。また、地域社会と協力して犯罪を防ぐ取り組みも大切です。

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