個人でタクシー事業を始めるにはさまざまなステップがあります。新規許可や譲渡譲受許可の取得、試験合格など、具体的な手続きや条件を知り、スムーズに開業するためのポイントを理解しましょう。個人タクシー事業の成果を最大化するための重要なステップを解説します。ぜひ最後までご一読ください。
個人タクシー開業許可の取り方は2通りある
個人タクシーは、一般的なタクシー事業者とは異なり、個人がみずからの車両を用いて営業する形態です。タクシーの運転者が同時に経営者となり、自身の車両を利用して収益を上げることが主な特徴です。
ただし、個人タクシーを開業するには、営業許可を取得する必要があります。その取り方には大きく分けて2通りの方法が存在します。
新規許可の取り方
新規許可は、まったく新たに個人タクシーとして営業を始める際に必要な許可です。まず、地方運輸局に必要な書類や手続きを提出し、審査を受ける必要があります。許可が下りると、指定された営業エリアでの営業が可能となります。
ただし、営業エリアには制約があり、ほかの地域での営業を行う場合は別途許可が必要です。申請には条件のクリアや審査が伴い、また、地域によってはタクシーの台数制限もあることに留意が必要です。
譲渡譲受許可の取り方
もうひとつの方法は、既存の個人タクシードライバーから営業権を譲り受ける「譲渡譲受許可」です。既に営業しているドライバーとの契約を結び、地方運輸局に申請を出します。特定の申請時期はなく、いつでも提出が可能です。
この方法では、既に確立されたタクシー事業を引き継ぐ形となり、比較的スムーズに開業が可能となります。契約内容や権利義務についても十分な調査が求められます。
開業するための必要条件
個人タクシーの運転手として独立する際には、いくつかの重要な条件が存在します。これらの条件をクリアすることで、スムーズかつ合法的に個人タクシー事業をスタートさせることが可能です。以下、必要な条件について詳しく解説していきましょう。
運転免許取得と交通違反の履歴
まず、個人タクシーとしての開業には、普通自動車第二種免許の取得が必須です。この免許を保有することで、法的にタクシーを運転することが認められます。さらに、申請時点から過去3年間に反則金の納付命令を受けたり、行政処分を受けたりしていないことも条件です。
年齢による条件
年齢によっても個人タクシー開業の条件が異なります。35歳未満の場合は、申請エリアでの10年以上のタクシー運転経験と、10年間の無事故無違反が必要です。
35歳以上40歳未満の場合は、申請エリアでの自動車運転経験が10年以上で、さらにはタクシー会社での職務経験が5年以上または同業務が3年以上必要です。
40歳以上65歳未満の場合は、自動車運転経験が25年以上(非旅客運送業は半分換算)かつ、タクシー会社での職務経験が3年以上が条件です。
資金条件
個人タクシーの開業には資金面での条件も存在します。最低資金として、設備資金(車両改造など)と運転資金(営業開始までの資金や自賠責保険など)を合わせて最低でも200万円以上用意が必要です。これにより、設備の整備や営業開始までの経費をカバーすることが期待されます。
組合への加入条件
多くの個人タクシードライバーが組合に加入しています。加入するためには、銀行口座に200万円以上の預金が必要です。組合に加入することで、無線配車や国民年金基金のサポートを受けることができます。
営業所とガレージの確保
個人タクシーを運行するためには、車両を保管する営業所とガレージが必要です。一般的には自宅を営業所とし、ガレージを車庫として活用することが一般的です。賃貸物件の場合、契約期間が3年以上の賃貸契約書が必要とされます。
健康診断と適性試験
開業前には健康診断を受け、とくに心臓や血圧に問題がないことを示す診断書の提出が求められます。同時に、適性試験も受験し、合格すれば適性診断書を提出します。運転に必要な健康状態や適性が確認され、安全な運転が期待されます。
試験に合格する必要がある
個人タクシーの開業には、条件をクリアするだけでなく、試験に合格する必要があります。地理試験と法令試験の2つから構成され、合格には慎重な準備が不可欠です。以下では、個人タクシー開業試験に合格するためのポイントを詳しく解説します。
試験の開催時期と申し込み
個人タクシー開業試験は年に3回、3月・7月・11月に実施されます。受験希望者は試験の3か月前までに申し込みを行い、試験の日程に備えてください。
地理試験
地理試験では、自身が営業するエリアに関する地理的な知識が問われます。地名や道路名、目的地までの最短距離や運賃、所要時間などに関する問題が出題されます。免除の条件もありますが、充分な知識が不可欠です。
法令試験
法令試験は車の運転に関する法律や交通事故の防止、乗客とのトラブル対応策に関する問題が出題されます。詳細な法令知識が求められ、答えは〇か×を選ぶ形式です。免除の条件はなく、必ず受験が必要です。
免除条件と免除されない場合
地理試験の免除条件は、タクシー運転手として15年以上の経験があり、かつ申請日から過去5年間、無事故無違反であることです。一方、法令試験には免除条件がないため、必ず受験が必要です。
試験難易度と合格条件
試験の難易度は高く、合格ラインは地理試験で全30問中27問以上、法令試験で全45問中41問以上の正解が必要です。合格率は約70〜90%といわれており、難しいと感じるかもしれませんが、事前の対策が充分であればクリアできる範囲です。
対策と学習
受験者が試験に合格するためには、事前の対策と学習が欠かせません。参考書の活用や勉強会への参加など、効果的な学習方法を選択し、合格に向けて着実な準備を進めましょう。
まとめ
個人タクシー開業には新規許可と譲渡譲受許可の2通りがあり、それぞれ条件が異なります。免許取得には地方運輸局への申請が必要で、詳細な要件や資金面での条件もございます。また、個人タクシー運転手は試験にも合格しなければならず、地理試験や法令試験が行われます。これらの手続きや条件をクリアすることで、安心して個人タクシー事業を始めることができます。